「えっ?今更ですか?先生は虚弱体質なんですよ」正直、ショックだった。この一言を聞くまで自分の事を虚弱体質だとは一度も思ったことはなかった。31年生きてきて、そんなことは一切考えたことなかったのに、スタッフの何気ない一言によって気付かされた。
每朝6時に起きて会社に行く前にカフェで自分の仕事をこなし、9時から夜9時迄患者さんの施術、院がしまった後にまたカフェで仕事をし12時半に帰宅、そこから食事を取って2時までジムで運動、帰って風呂に入り2時半に就寝。これが私の日課だ。
このスケジュールを人に話すと大体驚愕される。よくそれで体を壊さないね、と。自分でもそれをこなしてる自分は体が丈夫なんだろうと思っていた。しかしスタッフに言われてからよくよく今までのことを振り返ってみると本当今更なんだが、体は決して強い方ではなかったかもしれないと思いだした……
そもそも、生まれつき心臓に異常があり体力がない。アトピー体質で好きなものは食べられない。白米が食べれなかったので、幼稚園の時の弁当はアワやヒエ。1人だけ弁当が黄色かった。鼻炎と頭痛もち、喉が極端に弱くしょっちゅう風邪を引いたり、40度近い高熱が出る。
毎日10時間ぐらい寝ないと、きついし、朝スッキリ起きたこともない。気温の変化、空気、人のエネルギーなど、色々なものの影響を受け易いので体がすぐに崩れる。それでも、自分ではそれが普通と思っていた。院を立ち上げてから最初の数年間は特に体にムチを打っていた。毎日3〜4時間睡眠ぐらいで、仕事をし、それと並行して空手の練習、大会にも出場していた。
ただ、今思えば他の人と同じ練習をしているのに、体の反応が明らかに違っていたと思う。例えば、空手のトレーニングの後は動くことが出来ず、すごい時間寝ていたし、仲間と同じような食事をしても、自分だけ血液検査の数値に異常が出る。夜遊びに出かけると体力が持たず、次の日は本当に死にそうになる。アルコールも人と比べると弱いし……
けれど、その中で結果を出してきた。空手では全日本大会に出たし、夜も遊びまくった、そのまま仕事に向かい誰よりも仕事をした。そして、整体の仕事もそれなりにうまくいっていた。だから、今までのやり方で通用する。努力と根性でなんとかなる。そのままでいいと思っていた。
気付く
今までは極限まで追い込むのが普通と思っていた。自分の限界までやって、それを突破できる。自分の新しい世界が切り開かれると信じていた。ドラゴンボールで言うと、死にそうになって回復した時、更に強くなるサイヤ人と一緒だ。
そして、そのやり方を知らず知らずにスタッフにも強要していた。誰よりもやるから結果が出るんだ。努力は裏切らない。他の会社のどこにも負けないくらいやりきる。それが自分達の絶対的な自信だった。けど、長続きはしなかった。スタッフはドンドン疲弊していく、そして病気になって倒れたり、だんだん仕事に対する意欲が低下してくる。
今だから分かるけど、自分が一番疲弊していた。心に余裕がなかった。それが当たり前の状態と思って当時は思っていたけど、スタッフの言葉に気付かされてからそれは大きく間違っていたとわかった。
スタッフに気付かされてからは、より深く自分の調子を意識して生活するようになった。極限までやって、仕事を誰よりもやりきる方が良いという考え方ではなくて、出来るだけ自分の調子が良い状態をキープする方が良い。この考え方にシフトした。そうすると、楽をしても結果が出るようになった。勘違いしてほしくないのだが、決して頑張らないわけではない。
自分の良い状態をキープして、結果を出すというところがポイントだ。自分が良い状態でないと、良い仕事は出来ないし、類は友を呼ぶではないが、良い人も周りに集まらない。もちろん、良い出来事もやって来ない。
崩れない方法
具体的には、まず自分の状態を把握することから始める。自分と一緒で何が良い状態で、何が悪い状態なのかを分かっていない人が多すぎる。それは人から気付かされて初めて分かる。自分も虚弱体質と気付かされるまではそうは思っていなかった。
今まで何回も「体を壊しやすいから気を付けてね」と言われたことがはあったと思うが、気付ける状態の時に気付かせてもらって初めて分かる。気付ける状態というのは、自分の中に変わりたいという気持ちが少しでもある時のこと。
いまの状態は本当にいい状態かどうかわからない人は、自分が日々本当に幸せを感じて行きているかどうか考えてみると良い。幸せを感じられていないのならそれは決して良い状態では無いだろう。
自分の状態が把握できたら、次は良い状態で居続けるために、自分が崩れる行動をしないこと。ここが大事だ。基本的に自分の調子の良さの最高が100だとすると、100を上回ることは難しい。いかに、90〜100のラインをキープするかがポイントだ。
そのために、自分の体調が崩れる時のパターンを分析し、少しずつでもいいのでその行動を変えていく必要がある。自分のパターンだと、寝る時間を3〜4時間から5時間に変えた。これだけで随分調子が良くなった。他には、食事や運動の量。仕事の量。仕事をする時間。わかりやすいこれらから変えていった。
次に、日頃自分がいる場所にも気を使いだした。自分の体調が崩れるようなところには行かなくなった。これは少しわかりにくいかもしれないが、同じカフェでも自分の調子が良くなるところと、悪くなるところがある。人も同じで、合うと毎回調子が崩れるような人は申し訳ないが疎遠になっていった。
俺は治療家だが、治療のスタイルも変わった。自分が崩れる治療はしない。悪くなるものはとことん排除した。けれどどうしても排除できないものもある。そして自分が崩れてしまった時は、戦国武将が湯治して心身ともに癒やしていたのを真似して、自分にとって良い場所に行き、よい食事を食べ、良い風呂に入った。そして、深い呼吸。
たったこれだけ?と思うかもしれないが、崩れた時は是非試して欲しい。必ず良くなるから。注意点としては、ガタガタに崩れた状態だと元の状態にするにはかなり時間がかかるということだ。だから、崩れないように行動することにフォーカスして欲しい。治療と同じで、ギックリ腰などの一過性の問題はすぐに治るけど、脊柱管狭窄症や重度のヘルニアがすぐには完治しないのと一緒だ。
まとめ
このサイクルを維持することで、自分の世界が変わった。そして、会社の雰囲気もガラッと変わった。そして回りが今までより見えるようになった。会社は自分の器の中にある。自分以上には絶対に成長しない。
人は変えることが出来ると思うが、それも自分次第。スタッフがよく崩れるんです。こんなことに心あたりがあるのなら、まずは自分を見直してみてはどうだろうか?