一人の状態から頑張り、スタッフが増え、少しずつ院が大きくなってくると、患者さんの治療だけでなく、スタッフ指導に時間をとられ忙しくなってきますよね?そんな時にそばにいて欲しいのが、スタッフを指導できるスタッフ。
いわゆる幹部クラス。自分以外で指導ができるスタッフがいるかいないかで、今後の院の成長は大きく変わってきます。しかし、指導を安心して任せられるスタッフがいないことで頭を悩ませる経営者がとても多いではないでしょうか?
「自分と同じように教えられない」「マインドが自分と違う気がする」「どうしても精度が落ちる」「教育に時間がかかりすぎる」「自分がたまに見ておかないと何をしているかわからない」このような悩みを私は良く聞きます。
なぜ!?わざわざ時間を割いてスタッフ指導を行えるように教育したにも関わらず、あなたの思ったようにならないのでしょうか?それには大きく分けて3つの理由がありました。
理由1 指導するスタッフの目的を明確にしていない
よくある理由の1つに、本人のやりたい事と、会社の方向性、あなたの考えとの間にズレが生じていることがあります。自己啓発書や、経営セミナーなどで、だいたい「成功したいなら目標設定をすることが大事です」と言われたりしているので、自分の目標は「年商〇〇円」「車は〇〇」「院は〇〇店舗展開する」「自由な時間を作る」など、ある程度決まっているはずです。
しかし、その目標は目的を達成するための道標であり、人生の目的ではないはずです。目的と目標の違いがわかりにくい方も多いと思うので、簡単に説明させて頂くと、
少し抽象的になりますが、目的とはあなたが何のために生きているか?人生の目的は何?と言われた時に出る答えです。例えば、幸せになること、心を高めることなど、色々あります。
目標は書いて字の通り“みちしるべ”です。目的の途中に目標があるので、この目標を一つ一つ達成していった結果、気付いたら目的にたどり着いていたというのが幸せな状態ではないでしょうか?
例えば、あなたや会社の目的が「関わる人すべてを健康にすること」だと仮定して、目標は「年商〇〇円」「車は〇〇」「院は〇〇店舗展開する」「自由な時間を作る」を設定しているとします。
この目標を一つ一つ達成していった結果「関わる人すべてを健康にすること」にたどり着けば、一つ一つの目標を達成することに意欲が沸いてきませんか?
スタッフもあなたや会社と同じで、人生の目的があり、そこにたどり着くために小さな目標を掲げ、目印にして一歩一歩進みます。
ですので、教育を担当するスタッフの人生の目的が決まらずに、あなたが口酸っぱく「新人の売上を伸ばして下さい!」と勝手に目標を決めてそれを達成するように促しても、スタッフは目的が見えないので、何のために自分は指導を頑張るのかが分ってないことが多いです。
こういった場合に経営者とスタッフの間で意見が食い違ったり、温度差があったり、見ている方向性が変わったりします。当たり前ですがスタッフも経営者も、誰しも会社のために働いているのではなく、自分の目的のために働いているのです。
人間誰しも自分が一番大切です。だから、会社や経営者、スタッフ全員で自分の目的を明確にすることが働く上で大事になると私は思います。その目的が会社で働いていて叶うからこそ、一生懸命頑張れるのです。
ここでポイントですが、経営者はまだしも、スタッフは「人生の目的なんて見つからない!」となることが多いです。ですので、目的を決めるのではなくて、何がしたいのか?どっちを向いて歩いていくか。を明確にする方がまずは分かりやすいです。
“どうしたいか?どうなりたいか?”の答えが会社の目的を達成していく中で叶うのであれば、会社の向かう方向とスタッフのなりたい方向のベクトルが揃うので、スタッフは喜んで働きます。
あなたはスタッフの目的や目標を一緒に設定したことがありますか?そして、スタッフの目的に対する目標を具体的に知っていて、今この場で復唱できますか?
理由2 技術・知識が足りない
目的も目標も明確になって、向かう方向もスタッフと揃っているはずなのに指導の結果が思うようにいかない。そんな時に考えるのは“教え方が本当に分かっているか?”どうかです。
スタッフ指導の仕方を明確に理解出来るように指導しないとスタッフは、あなたの思うような理想の指導をすることはありません。この際に大事になるのがマニュアルです。
自分が今までやってきたこと、現在やっていることで、成功しているパターンをマニュアルとして落とし込んでください。
これが指導の教科書、いわゆる軸となります。「見て覚えろ!」「感覚でつかむんだ!」と言う前に、まずは軸を準備してあげましょう。この軸があることで大事なポイントを優先的に覚えれることが出来ますし、スタッフが上手くいかなく迷ったときにもとに戻ることが出来ます。
逆にこの軸がないと、うまくいかない時に元に戻れず右往左往し、迷子になることがあります。そうすると自信が無くなるどころか、あなたが指導して欲しいことと全く違ったことを教えていたなんてことはザラにあります。
理由3 教育者の幅が狭い
目的も目標も決まり、軸も出来てしっかりと教えた。最後の問題になるのは、指導者が人間としての幅が狭いことから、スタッフを人間として自分より大きく出来ない。といったことがあります。
“幅”というのは、分かりやすく言い換えると視野の広さです。人間は生まれてから、生きていく中で行動するごとに他人から否定的なフィードバックを受けると、その人のその後の人生において「〇〇をすると失敗するんだな?」「〇〇をしても無駄だ!」といった思い込みを作ってしまうことがあります。 この思い込みが視野を狭くしてしまいます。
鎖に繋がれた象の話が有名ですね。サーカスにいるゾウは小さい頃に鎖に繋がれます。ゾウは一生懸命鎖を引っ張って逃げようとしますが、鎖は切れず逃げきれません。そのうち観念して逃げることをやめてしまいます。
そして、年月が経ちゾウは大きくなり鎖を引っ張れば切れるようなパワーを身につけるのですが、今まで何度やっても鎖が切れなかったので、逃げるのは無理と思い込んでいるゾウは鎖を切って逃げようとしません。
これが思い込みです。 そうなると次の行動を危惧し、同じような行動をしなくなります。そうした結果、不安という服を何重にも着て動きが制限され、行動パターンの選択肢が少なくなります。 パターンが少なくなると視野が狭くなり思考の範囲が限られます。その状態を幅が狭いといいます。
この幅の狭い、視野の狭い状態で、スタッフの指導をしてもマニュアル通りのことは教えることが出来るかもしれませんが、スタッフの幅を教育者より大きくするのは大変難しいです。
まとめ
目的と目標、マニュアルと言った軸、人間としての幅。このどれか1つでも欠けるとスタッフはあなたの思うように指導をしてくれません。逆にいうとこれらが全て揃った状態だとスタッフは猛烈な力を発揮します。その為にはまずあなた自身が、自分の目的や目標を決めることが大事になります。
あなたの人生の目的は何なんでしょうか?「困っている患者さんを一人でも多く救いたい!」と思ってスタートした、治療院の目標を覚えていますか?目先の利益に囚われて見失っているものはありませんか?あなた自身が明確になることで、軸ができマニュアルにも繋がります。
視野は狭くなっていませんか?今まであなたが送ってきた人生以外にも沢山の道があります。1つの事に囚われず、まわりを見渡して下さい。そしてスタッフは勿論、家族、恩師、あなたが信じられる人の話を聞いてみて下さい。そこにはあなたが忘れていたものに気付かせてくれるヒントがあるはずです。
あなた以上にスタッフは大きくなりません。あなた次第でスタッフは大きくもなるし、小さくもなります。この記事が少しでもためになり、あなたやあなたのスタッフが自分の場所でひかり輝くことを願っています。